2010年10月、台風14号は大きな被害には至らなかったものの、河川敷に生きる小さな生き物にとって雨風がどれだけ苛酷であったか・・・猫達の無事を祈り続けましたが、非情にもジッポの命を奪いました。ジッポは毎日、私が来るのを心待ちして、餌を待っている猫でした。人が入って行かない場所、草が生い茂った獣道を下って行くと、必ず直立不動で私が来る方を向いて、じっと待っているのです。その純粋に信じて待っている時の眼差しや姿が忘れられません。「ジッポ!!」と声をかけると「ビャー!!」とかすれ声で返事をするジッポ。そして美味しい餌を早く食べたいと体をぶつけてきます。2008年の5月に60歳代の女性によって多摩川に捨てられ、彷徨っている所を運良く発見し、それから毎日見守ってきました。捨てられた事によって極度の恐怖で人間不信に陥ってました。凄い形相で威嚇され近寄る事すらできず、しかし、飢えで死なせてはならないと思い、怖がらせないように慎重に、一歩一歩、心が開いてくれるまで根気強く時間をかけました。ジッポとの付き合いの記録は自分のノートにも記していますが、ジッポが私という人間を許し、本当の意味で受け入れてくれるまで6ヶ月かかりました。
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