ツウは河川敷に遺棄されてからというもの、様々な人との出会いの中で何とか生きながらえてこれた猫である。多摩川に捨てられる猫はその殆どが飢えと衰弱で苦しみながら死んでいく。その中のほんの一握りの猫だけが心ある人の手によって命を繋げる可能性が生れてくる。ツウは臨機応変にある時は河川敷の公園に、またある時は雑木林の中にと微妙に場所の移動を繰り返しながら生きてきた。最も多いパターンとしては200mほど離れた公園とホームレスさんの小屋を往復していたのである。公園にはモモ(♀)など5匹の仲間の猫が居て、一方の小屋にはリリー(♀)・チャーミー(♀)などの4匹の猫が居た。推定年齢10歳と言われていたツウは多摩川の厳しい環境下の中で体に様々な負担が積み重なっていたようだ。内臓への負担、口内炎、他の症状も見受けられたが、とりわけ食欲だけは並みの猫の2倍はあった。性格は穏やかで、誰に対しても迷惑をかけることなく、ひっそりと生きてきた猫です。
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